「アスファルト舗装って面白い」
日頃歩いたり車で走る道や駐車場は黒っぽく見えます。これはアスファルト舗装です。泥道になることがなく水たまりもなく歩け、車も快適に走ることができます。
この仕上げがアスファルト舗装工事です。
アスファルトは自然界にも存在し、古くから接着剤や防水剤に使われてきました。しかし現在利用されているものは、原油から様々な石油製品(ガソリン・軽油・重油など)を製造した後の残油で作られています。舗装に使う加熱アスファルト混合物(合材)は、「アスファルト・プラント」と呼ばれるアスファルト混合所で、アスファルトと骨材(砕石・砂)を加熱・混合して作られます。熱いうちに現場に輸送し施工を行い、冷えれば道路としての強度が得られる便利なものです。道路の幅や傾斜の変化に合わせて施工でき、工事が終わればすぐに利用できます。
あまり知られていませんが、実は舗装は細かい作りがされています。道路ははその断面を見ると、大きく4つの層で出来ています。
表面のアスファルトで出来ている層の「表層(ひょうそう)」と、その下に「基層(きそう)」といって表層と同じくアスファルトで出来ている層があります。さらに下には「上層・下層路盤(ろばん)」といって主に砕石(じゃり等)で出来ている層があり、一番下に「路床(ろしょう)」と呼ばれる土で出来ている層があります。
この4つの厚さはは、交通量や走行車両の重量、路床の性質などを考えて設計されます。
アスファルト舗装の流れ
①現場の測量
工事を始める前に、まずは設計図や現場の情報を現場確認します。設計図と現場が違っていたり追加の仕事を確認し施工計画を立案します。
② 路床工事
道路作りは路床工事からスタートします。路床は主に土で出来ていてこの仕上がりがその後の工程や舗装の出来と耐久性を左右します。ブルドーザーやモーターグレーダーという重機を使って均し、ローラーの付いた重機で締め固めていきます。その後の工程を計算して高かさを決めます。「路床を制する者は道路を制す」と言われるほど重要な工程です。
③ 路盤工事
路盤工事は路床の上に砕石等を撒いていき、ここでもモーターグレーダーで敷均しをしてローラー重機で締め固めていきます。路盤の目的は、道路の交通荷重を分散させて、路床に掛かってしまう負荷を小さくするクッションの役割があります。アスファルト層には弾性があり、重みにたわみ、また回復する性質があるからです。
④ 基層工事
いよいよアスファルトの基層工事をしていきます。基層は加熱されたアスファルト混合物(150℃以上、粗粒)を、アスファルトフィニッシャーという重機に移し替え、路盤の上に敷き均していきます。敷き均しを追うようにマカダムローラー(鉄輪)、タイヤローラーを使って均一に締固めていきます。基層は路盤と表層の間に作られて、道路の交通荷重を均一に分散支持させるクッションの役割を果たします。交通過重が少ない舗装では省かれることもあります。
⑤ 表層工事
最後は表層工事です。表層は道路の交通荷重に接する最上部の層であり、人の歩行やタイヤに直接触れる所です。
その仕上がりは「道路の顔」です。作業は基層工事と同じですが材料や目的が違います。まず摩耗に強いこと、水に強いこと、平坦ですべりにくいこと、均一でヒビ割れがなく、美しく仕上がっていることが重要です。繊細な気配りが求められる工程です。材料も基層工事で使用した粗粒アスファルト混合物より密度の高い密粒アスファルト混合物を使用します。特に気温や合材の温度管理が大切です。
基本はこれまで書いたように工事は進めますが、すでに舗装がなされていて、路床や路盤に大きな損傷がない場合、切削・オーバーレイという方法もあります。路面を専用の切削機で削り、表層工のみを行うものです。
舗装工事が済むと、車線区画ラインを引き見栄えがぐっと引き締まり完成です。
これまで舗装工事は経験をつんだ職人的な技術に支えられてきましたが、徐々にICTを活用したものに変化し最新技術が取り入れられています。
普段注意を払うことが少ない道路は、実は様々な工夫がなされ、みなさんが安心・安全に利用できるように作られてい
ます。
「電気軌道工事は時間との勝負」
軌道工事は、電車がある限りなくならない安定した仕事です。また経験が大切な仕事でもあります。
長崎電気軌道㈱樣が設立されたのは大正2年、星野組の創業は大正6年。星野組は終戦後70年以上にわたり長崎電気軌道の軌道工事に携わってきました。
軌道整備工事とは、レールを敷くだけでなく、時間と共に低下する線路の状態を正常な状態に戻し良い状態を維持し、乗客にとって乗り心地の良さを保つために行う作業です。電車線路の基本構造は主にレール、マクラギ(枕木)、バラスト(砂利)、板石の4つで出来ています。それぞれの役割があり、どれも乗客の安全と乗り心地が大切な目的です。
長崎電気軌道の軌道部分は通常は車の乗り入れは出来ませんが、救急車や消防車、パトカーなど緊急車両は走ることが出来るため市民にとっては大切なものになっています。加えて軌道の板石は情緒があり長崎観光の魅力と言われています。
しかし近年は枕木や道床(レールの下の部分)の多くはコンクリート製品に替わってきました。板石も御影石からコンクリートブロックになってきました。精密で施工効率がよく寿命が長いからです。
レール交換作業とは、レールと車輪はともに金属であり、転がり・滑りによって次第に摩耗します。安全運行には定期的な交換が必要です。レールの長さは数種類あり、さらにレール自体にも断面積の違いで数種類あります。ロングレールの長所は、ゴトンという振動が少ないことや低騒音であることがあげられます。
我が社は長崎電気軌道の工務部の指導のもと作業を行っています。
軌道工事の多くは終電車の後の夜間です。そして始電が動き出す前に終わらなくてはなりません。そのため計画的に段取りよく仕事を進める必要があります。工事は時間との勝負です。
乗客が夜の内に終わった工事のことを意識することはないでしょうが、それこそが私たちの誇りなのです。
「建設業を知ろう」
建設工事は大きく土木と建築に分類されます。土木は、道路、河川、橋、港湾施設、ダム、急傾斜地対策、敷地造成、上下水道など様々です。それぞれ専門技術があり、さらにそれを分担する、鉄筋、型枠、足場、工事用船舶などの分野があります。建築分類以外のすべてと言えます。
建築はビルやマンション、戸建て住宅、店舗などあります。地震の多い我が国では耐震補強工事も盛んです。建築も土木同様専門技術の組み合わせです。屋根、壁、溶接、塗装、サッシ、左官、電気など様々が組み合わさって仕事が進められます。
星野組は土木とアスファルト舗装、電車軌道工事がほとんどで建築は専門外です。
「土」の知識
農業や園芸をやる人以外は日頃「土」を意識することがないかも知れません。しかし土木工事は土と付き合う仕事です。
土を理解することは大切なことです。
道路や橋、トンネルやすべてのインフラは、どれも基礎地盤は土であり、その性質を知ることは建設技術者の第一歩です。幸いこれまでの研究者や技術者の、経験、調査、分析、実験の繰り返しによって、多くのことが理解されています。しかしまだまだわからないことも多いも事実です。
土とは主に火成岩(地下のマグマが固まったもの)や堆積岩(地上の岩や生物の遺骸が積もったもの)が、長い年月の中で風化したり粉砕されたものです。大まかに物理的風化、化学的風化、生物学的風化とそれが組み合わさって形成されます。加えて水と空気を合わせて「土」と呼びます。その組み合わせで土の性質は大きく変わるので興味深い世界です。植物の成長にとっては含まれる元素や栄養素が重要になります。
土木の分野では、掘削、盛り土、締め固め、残土処分などで土の理解が必要になります。また土の性質や状態を表す言葉は、「粘土」「シルト」「砂」「礫」から始まり、「粗粒土」「細粒土」など多くの分類がありそれぞれの性質があります。もとの岩質が違うと、水分が抜けないとか乾燥するとほこりが立つなどもあるので、知識が必要です。